奇妙なキーワード


会議の終了後、組合員(住民)はそれぞれに雑談をしながら部屋から出て行きます。
そのなかで何とも奇妙なキーワードが聞き取れました。
「前の補修の時の組合長」「ポッケに」「おいしかったでしょう」

「???」
あっけにとられた私の顔を見分けたのでしょう、
Aさんが声をかけてきました。
「わざと聞き取れるように大声で話してるんだ。組合長にくぎを刺す意味なんだろうよ」

やっと内容が見えてきました。
既に前の補修の際に、当時の組合長にキックバック疑惑のうわさが立っていたということです。
それもきちんと知っているうえで、Aさんはあの資料を全戸配布していたのです。
資料の中には
「今回の補修は前回よりも大規模です。当然動く金額も大きいです。
しっかりと皆さんの意見で進む先を決めましょう」
と呼びかけてあったのは、このためだったのでしょう。

コミュニティに古くから存在するキーパーソンの必要性と
そのキーパーソンの思慮で結果が変わってきてしまう可能性―。
恐ろしいものが垣間見えた瞬間でした。